最後の手紙
仲村渠
氷になつて
午后一時 A広場のまんなかで消えてしまう。
贈つてもらつた独逸製の目醒し時計の中に隠れるから
燈台の尖へあがつていつて
海の方へ力いつぱい抛つてくれたまへ。
太平洋のまんなかには、ちツちやくて綺麗な魚はゐないだらうか
かならず僕を喰べてほしい、豆になつて跳びこむから。
せツちやん。
君は僕のいふことを聞いてはくれぬ故、僕は以上三ツのいづれかを実行します。では、達者でね。さよなら。
底本:「沖縄文学全集 第1巻 詩
」国書刊行会
1991(平成3)年6月6日第1刷
底本の親本:「近代風景 第3巻9号」
1928(昭和3)年
初出:「近代風景 第3巻9号」
1928(昭和3)年
入力:坂本真一
校正:良本典代
2016年9月9日作成
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