かの日

漢那浪笛




あまき歓楽の日は、
束の間に決別わかれをつげ……
物のかたち、淋しき色に濡れて、
墓場の景色をくりひろげぬ。

あたゝかき心の熱の消ゆるに連れ、
唇の感じも少なく、
つめたき空気に、墓なき息を通すまに、
悲哀かなしみ!遂に吾れをころす………。





底本:「沖縄文学全集 第1巻 詩※(ローマ数字1、1-13-21)」国書刊行会
   1991(平成3)年6月6日第1刷
初出:「沖縄毎日新聞」
   1911(明治44)年6月12日
※初出時の署名は「浪笛生」です。
※初出の新聞で作品名として扱われている「かの日」を表題としました。
※表題は、底本では「南の友へ【三】」の見出しのもと、5字下げて2行取りの横罫の下に記載されています。
入力:坂本真一
校正:良本典代
2016年12月9日作成
青空文庫作成ファイル:
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