かの日の歌【三】
漢那浪笛
温たかき玉は、君が手より、
すべり落ちぬ。
その玉は他人の手に握られ、
楽しき夢路をたどるなり。
あゝ君は淋しき人なり。
君はいや更に悲しめ!
もだへ、苦しむは君のさがなり。
ぬめらかなる玉は、すべり安く、
ふしくれだちし手には、
あまりに痛ましく、たへがたく――
すべり落つるも、
ことわりなり。
あゝ君は淋しき人なり。
君はいや更に悲しめ!
もだへ、苦しむは君のさがなり
●表記について
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